また、一般市民の人たちには、盲導犬と一緒に歩いてみませんか!と呼びかけた。当日は、総勢58名の参加となる。
5班に別れ、まず駅の上にある奈良館に入る。館内案内のガイドさんの詳しい説明を聞きながら回る。東大寺の大仏殿そのままの大きさという左手の模型がある。腕かと思って触れていると、「そこは小指です」とガイドさん。我々を迎えたガイドさんも力が入ったのか、予想より時間をかけた説明をしてくださった。仏像の模型などにも手を伸ばしている内に時間はかなり押してしまった。
今回は新聞などを見て来られた人も多く、盲導犬ユーザーはもとより、視障者との接触も無いという人が多い。
そこで、各班に入ってもらっている盲導犬ユーザーや白杖使用者を誘導サポートする体験学習を、参加者の皆さんに順番にやってもらうことにした。
私のサポートを最初に御願いしたOさんは、指名されて「えっ!」と驚いた様子であったが、「私の右横について周囲の説明を御願いします」と声をかけると、最初はおずおずと従う感じであったが、商店街に入って「なにを売っていますか?」と問いかけると、ちょっと気持ちが楽になったのか言葉が返ってくる。
その後は、小休止をするたびに、あえて私が指名しなくとも人が変わってサポートについて来られる。嬉しかったのは、私の横に来られたさいに、自分の名前を名乗ってから「よろしく!」と言われたことである。これは事前に御願いしておいたことではなかったが、視障者に対してもっとも基本的な関わり方でもある。
奈良は、まだまだ自然にあふれた所だと感じた。サポートしてくださる人達ちそれぞれに周りの情景を伝えてくださる。「階段です」の声に、「アップですか?ダウンですか?」と言葉を返す。「ああ、そうですね」と気づかれる。「あ、車が来ました」 「右からですか?左からですか?どちらから来たか言ってもらえたら自分で対処できます」と言えば「なるほど!」と納得される。
このように6人の人に関わってもらって無事1日を終えることができた。
他にはいろいろハプニングもおこったが、「盲導犬を介して視覚障害者のことを知ってもらう」という京都ハーネスの会の初期の目的は十分果たし得たのではないかと感じた1日となる。