2008年06月03日

京都ハーネスの会 奈良散策

前日の雨もすっかり上がって好天気の1日となる。京都市営の地下鉄が、奈良行きの近鉄と繋がって、京都市内からでも乗り継ぎをしなくとも奈良まで出かけられるようになっている。そうした利便性を生かして、視障者の方も、最寄りの駅改札口まで来てもらえたら、そこからは見える会員がサポートするというキャッチフレーズで参加を呼びかけた。
また、一般市民の人たちには、盲導犬と一緒に歩いてみませんか!と呼びかけた。当日は、総勢58名の参加となる。
 5班に別れ、まず駅の上にある奈良館に入る。館内案内のガイドさんの詳しい説明を聞きながら回る。東大寺の大仏殿そのままの大きさという左手の模型がある。腕かと思って触れていると、「そこは小指です」とガイドさん。我々を迎えたガイドさんも力が入ったのか、予想より時間をかけた説明をしてくださった。仏像の模型などにも手を伸ばしている内に時間はかなり押してしまった。
 今回は新聞などを見て来られた人も多く、盲導犬ユーザーはもとより、視障者との接触も無いという人が多い。
 そこで、各班に入ってもらっている盲導犬ユーザーや白杖使用者を誘導サポートする体験学習を、参加者の皆さんに順番にやってもらうことにした。
 私のサポートを最初に御願いしたOさんは、指名されて「えっ!」と驚いた様子であったが、「私の右横について周囲の説明を御願いします」と声をかけると、最初はおずおずと従う感じであったが、商店街に入って「なにを売っていますか?」と問いかけると、ちょっと気持ちが楽になったのか言葉が返ってくる。
その後は、小休止をするたびに、あえて私が指名しなくとも人が変わってサポートについて来られる。嬉しかったのは、私の横に来られたさいに、自分の名前を名乗ってから「よろしく!」と言われたことである。これは事前に御願いしておいたことではなかったが、視障者に対してもっとも基本的な関わり方でもある。
 奈良は、まだまだ自然にあふれた所だと感じた。サポートしてくださる人達ちそれぞれに周りの情景を伝えてくださる。「階段です」の声に、「アップですか?ダウンですか?」と言葉を返す。「ああ、そうですね」と気づかれる。「あ、車が来ました」 「右からですか?左からですか?どちらから来たか言ってもらえたら自分で対処できます」と言えば「なるほど!」と納得される。
 このように6人の人に関わってもらって無事1日を終えることができた。
 他にはいろいろハプニングもおこったが、「盲導犬を介して視覚障害者のことを知ってもらう」という京都ハーネスの会の初期の目的は十分果たし得たのではないかと感じた1日となる。
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2008年05月14日

盲導犬ユーザーと実体験学習  

 数ヶ月前に、藤沢市のJ中学から「修学旅行で京都へ行く。そのさい、市民グループとして活動している京都ハーネスの会のことについて知りたいといっている生徒がいる。受け入れてもらえるだろうか?」という問い合わせがあった。その申し出は快くお引き受けした。
 そのさい、生徒たちを前に、盲導犬や視覚障害者のことについてお話するのも一つだが、それよりも実体験を通して感じ取ってもらえる事の方がインパクトがあるのではないかと考えた。 
 当日は、前日降っていた雨も上がり、ほどよい風がそよぐ中、京都駅に降りたばかりの4人の生徒さんたちを前に、「これからバスに乗る人、地下鉄を使って乗り換えをする人、電車を降りてからしばらく歩く人、4人それぞれ違ったコースを移動してもらうことになりますが、盲導犬ユーザーと一緒に歩いている中で、盲導犬のすばらしさ。見えない人が町中を歩いたらどんな障害物があるか。もし、見えない人と出会ったらどんなお手伝いができるのか。そうしたことに気をつけて歩いて欲しい」と、出発前のオリエンテーションを行った。また、「見えない人にはしっかり聞こえる声で返事をしたり案内をしてください」とも付け加えた。
 私に同行したSさんはおとなしそうな学生で、そのつど「Sさん」と呼びかけないと何処にいるのかよく分からない。「盲導犬と一緒に歩いている人をサポートする時は犬のいない反対側、私の場合なら右側についてあるいてください。何かあったら声をかけてね」と言っておいた。私とユニスが階段を下るときには「大丈夫だろうか!」と心配したようである。
 「電車に乗ったとき空席があったら教えてね」とも言っておいた。電車を降りてみんなと合流する目的地まで10数分歩いた。途中横断歩道も幾つかあったが「信号が赤です」という声かけは結局サポートとして同行したI会員さんから受けることになる。
 スタートから30分ちょっとで目的地についた。
 自己紹介などをした後、生徒さんたちからの質問を受けることにした。私としては今歩いてきた中で感じたことについて訊ねても欲しかったが、彼女らはやおら準備していた質問用紙をそれぞれに広げ順番に問うてきた。
 その内容は、「この活動をどうして知られましたか?」というものに始まり、その多くは盲導犬に関する従来型の質問が多く出た。
 それでも最後にはユーザーのYさんが「こんな時しか盲導犬に触れられへんやろ!」とサービス精神たっぷりに彼女らにパートナーを触らせた。これが彼女らには最も印象に残ることになったかもしれない。
 京都ハーネスの会としては、こうした実体験に基づいた学習会を展開していけたら良いなあと考えている。
 学校やPTA、地域のグループなどなど、いろんな所からお声をかけていただきたい。
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2008年02月01日

新たな発見

 神奈川県の藤沢から「京都ハーネスの会」へ電話がかかってきた。いったいなんだろうと、受話器をとると、中学校2年生の担任からである。
 この5月に中学3年生の修学旅行で京都に出かけるのだが、そのときに京都ハーネスの会の活動を見させて欲しいという申し出である。
 その先生の話によると、今年度、生徒たちは職業体験や地域めぐりなどで、 大人たちの働き方や生き方を学び、働くこと、そして社会とかかわって生きること、を学んできました。特に地域めぐりでは、地域の人たちに直接出会って、話を伺い、どういう社会で働き、生きたいのかにつながる道を考えさせてきました。市民が人と人とをつなぎ、活動している姿をつかませ、学年が上がるごとにその学ぶ内容を進化させていきたいと思っています。
 京都には、古くから町並みを守り、また歴史的な文化・環境・遺産を守り、発展させてきた先進的な市民活動があると聞いています。とのこと。
 昨年の11月にも地元で聴導犬のことなどを聞く機会があった生徒たちがぜひハーネスの会のことも知りたいと言っているということ。
 京都市民活動センターから出されている,NPOのハンドブックから選ばれたようだ。ハーネスの会の活動を見たいというのは4名の女子生徒。およそ1時間位の時間枠の中でお願いしたいとの申し出でである。
 そこで、私からは、「お話をするよりも、盲導犬ユーザーが町中を歩く姿を実際に見てもらうことで、盲導犬のすばらしさを知ってもらうとともに、行動する中で、いかに障害物が多いか、周囲の人たちがどのような関わりをすることで視覚障害者の行動の自由が得られるか、そんなことの幾分かでも理解してもらえるのではないか」と提案した。
 先生も、この案には大賛成とのことで、ハーネスの会のメンバーの協力も得て来る日には、しっかり受け止められることを楽しみにしている。
 そうだ!京都の小・中学生に対してもこうした形の学習体験をどしどし取り入れていってもらえるよう働きかけ、ハーネスの会として、それらに応じていくことで、新たな活動の目を芽生えさせていけるのではないか。と、受話器を置きつつ考えた。
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2007年10月30日

ライトハウス祭りの盲導犬コーナー

 京都ハーネスの会では、28日のライトハウス祭りの中で「盲導犬啓発コーナー」を設けてもらった。
 昨年、ハーネスの会は、カレー・コーヒーの模擬店を行ったが、晴眼者の会員さんが忙しく動かれている中で、盲導犬ユーザーは終日、その傍でひなたぼっこをしながら、時折声をかけてくる人達に対応している程度だった。
 京都は盲導犬ユーザーが他府県からみても少なく、人が沢山集まるこうした場を使って、盲導犬と歩くことのすばらしさをより多くの人に伝えられたら。そして、一般市民の人達には町中で盲導犬ユーザーと接するさいの対応なども知ってもらえたら。そんな思いで、盲導犬コーナーを新たに設けてもらった。
 しかし、与えられた1室は、ちょっと奥まった目立ちにくい所にあり、「はたしてここまで足を運んで、色々わざわざ尋ねて来る人がどれほどあろうか」と心配もしていた。
 当日は好天気。来館者は多そうである。
目を引くパネルを作ってもらったり、盲導犬協会から盲導犬の大きさの置物をお借りして、廊下を行きする人たちにアピールした。
 外が、ざわざわしだすと早速覗く人が現れた。これも部屋の外でしっかり呼び込みをしてくださるK会員さんとN職員の努力あってではある。
 声をかけずに部屋に入って来られるので、我々ユーザーとしては誰が何時来て、何時の間にいなくなったのか分からないような時もあった。視覚障害者に対するもっとも基本的なことが伝え切れていないという実感。

 ちっちゃな子供は自分よりはるかに大きな犬に触ることができて良かったのではなかろうか。生きている動物を「かわいい!」と思ってもらえることだけでも今は良い体験となろう。
 「世間では盲導犬を可哀想と思う人があるけれども、その思いを急に変えることは難しい。人には人それぞれの捉え方もあるのだから」と、一口上述べて帰る人もあった。
 盲導犬と歩くことを決めて、既に訓練の日を待っている人もいた。風をきって歩ける楽しさを伝えた。犬が病気になったときの医療費がかかること、保険があったら良いなあ、などの話もした。
 小学校入学前の視覚障害児も幾人か覗いた。最初は手を出すこともせず、怖そうにしている子もいた。部分的に触って分かったように思われては困るので、「頭から足先までしっかり見てね」と我々ユーザーとして声をかけた。
 いつも誰かが覗いてくれるという中で1日が終わった。
 1日を終えての感想としては、「やっぱり盲導犬という犬の存在から視覚障害を理解してもらうまでの接点は、よほど働きかける側の意識がしっかりしていないと難しいぞ」と改めて感じさせられた。
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2007年07月25日

京都ハーネスの会主催の落語会

 京都ハーネスの会は、盲導犬を介して広く市民の人たちに盲導犬ユーザーを含む視覚障害者のことを知ってもらえる機会になればと年数回いろいろな行事を企画していす。
 今回、当会員の中に桂福團治師匠を知っている方がおられ、その人の口利きで「落語会」を開催することとなりました。
 落語会の会場は視覚障害者施設「ライトハウス」、このような施設があるようなことを全くご存じない市民の方も「落語が聞きたい」 「盲導犬にあってみたい」などの動機で足を運んでいただくことができました。
 一門会の落語を演じていただく前に、啓発活動の一環として福團治師匠と盲導犬ユーザーとのトークを15分程度行いました。
 町中で視覚障害者に遭ったら、まず「なにかお手伝いしましょうか!」と声かけをして欲しいことなど、ごく日常的な場面で対応していただきたいことについて紹介。
 福團治師匠からは「そのコートはどうして盲導犬に着せているんですか?」との問いがあり、「抜け毛がなるだけ周囲に飛ばないように気をつけているんです」「ファッションとしても考えています」.
「なるほどね、それで犬は着せてもらって喜んでいるんですかね?」「それは聞いてみたことがないので分かりませんが、犬それぞれオーダーメイドで作ってもらっているから、きっと喜んでいるとおもいますよ」 「そうですか、ワン・ダフルですな!もし猫に着せたらニヤワン・ニヤワンっていうでしょうな」てな具合に、師匠の軽妙な話術に、早くも会場は笑いの渦。
 会場には10頭の盲導犬がずらり最前列に並びました。
主催者側としては盲導犬も手足を伸ばしてゆったりできる場所の方が良かろうと考えて座席を決めたのですが、後で考えてみれば、会場のあちこちに座席をとってもらった方が、一般市民の目にも留まりやすかっただろうな、とは思っても後の祭り。
 お囃子も生演奏。演芸場の雰囲気も盛り上がったところで、落語3席を楽しみました。
 福團治師匠は手話落語でも有名な人。師が声が出なくなった時期があり、また、演芸場に聴覚障害者が来場していたことがあったが、周囲の人が笑っているのに、その人だけ笑わなかったことに気づき、「聞こえない人にも楽しんでもらえる落語」ということで、手話落語を考えだし、今、全国に10数名の手話落語演者がおられるそうす。
 落語会は、「またこのような企画があれば良いね」などのお声をちょうだいしながら、無事終えることができました。
posted by よろてん at 16:49| 京都 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 京都ハーネスの会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月02日

盲導犬と一緒に歩こう会


 「宝ヶ池のんびり歩こう会」の当日は夏日になるくらいの好天気。
 当日を迎えるまではお天気とともにどれほどの参加者があるかが気がかりでした。
 というのも、今年の3月に京都ハーネスの会で行った「盲導犬と歩いて」という研修会には思ったほどの参加が得られずちょっと弱気になりかけていました。
 ところがラジオや新聞を見聞きして参加希望を申し込まれる人が予想以上にあって、最終的には55名の参加となりました。
 集団は4班に分かれて、各班にはそれぞれ盲導犬とユーザー、また、白杖使用の視覚障害者、車椅子使用者も混じって、一般市民の方々と談笑しながら、それこそ下見よりもゆっくり・のんびり宝ヶ池に向かいました。
 ラジオや新聞でこの集まりを知った子供連れのご家族も参加してくださり、ある盲導犬ユーザーから「ハーネス持ってみるか」と促されて嬉しそうにハンドルを握る子供さんの姿も見られました。
 ずいぶん前に宝ヶ池には遊びに来たことはあるけれど、すっかり雰囲気が変わっていることに驚いておられる人もあったり、かつてボートを漕いだことを懐かしく思い出しておられる人も。参加者それぞれがそれぞれの思い出、新緑と小鳥のさえずり、薫風に気持ちを和ませながら池を1周しました。
 我がユニスくんは育ての親である盲導犬訓練士がビデオカメラを持って前へ後ろへと移動するたびに、歩きながら頭を後ろに向けたり、ちょっと常の落ち着きはありません。
 昼食後は訓練士さんの盲導犬訓練にまつわるお話や盲導犬ユーザーの日常の一こまなどをお話していただきました。
 こうした時間を持つことによって参加していただいた人たちに現状の幾分かを知ってもらえたら良いなあと考えています。
 参加されたお一人から「ハーネスという名前は?」と問われました。
我々は日常的に用いていますが、全く知らぬ世界の人にとっては「なぜ京都ハーネスの会」という名称になっているのかも疑問だったことに気づかされました。
 この方にも実際にハーネスに触れてもらいハンドルを持ってユニスと歩いてもらおうとしましたが、やっぱりユニスは私の方ばかり気にして盲導犬歩行を体験してもらうことはできませんでした。
posted by よろてん at 11:22| 京都 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 京都ハーネスの会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月22日

盲導犬への声かけ


 過日、お天気にも誘われて、30日に行う京都ハーネスの会の歩こう会の下見に出かけました。
 地下鉄北山駅から北山通りを東へ、ケーキ屋さん・手作りパン屋さん・花屋さんそして焼肉店と嗅覚ショッピングをしながら宝ヶ池通りへ。軽い上り坂を進むともう宝ヶ池。
ウィクデーなのか思ったほどの人影はなく、のんびりと散歩気分で歩く。
 小さなお孫さん連れの夫婦や犬の散歩をしている人などなど。
池を一回りしている途中、声をかけて来られた人があります。
「この犬盲導犬ですか?」 「そうですよ」、「へえ、目はぼんやり見えてはるんですか?」 「いいえ、以前は見えていましたけど今は全く見えてませんよ」
 「うーん、そしたら何かと不便でしょ?」「いや、かえって少し見えていたときの方が弱い視力に頼ってしまって危ないこともありましたよ」 「信号は盲導犬が教えてくれるんですか?」 「いいえ、車が止まったことを私がさっして『ゴー』と犬に言うんですよ」「なるほどねえ!」 「横断歩道の所に黄色いぶつぶつのものが貼ってあるでしょ、あれを目当てに横断歩道のあるのを確認しているんです、でもあそこに自転車などあってね」 「そうや、歩くとこに自動車がどんと止めてあるしねえ」 「そうですよね」などと話しながら半周くらいは歩いたでしょうか?それまで奥さんと私の会話を後ろから聴いておられた連れ合いが「私も視覚障害者のゴルフのお手伝いをしているんです」 「ええっそうなんですか!ついこの間も、視覚障害者ゴルフをしている者としゃべっていて、私もちょっと興味があるんですけどね」と、今度はそちらの話に話題が移ったりして、何処でどんな人にお遭いするか分からないものです。
 ところで、その奥さん、「この犬の名前は?」とは問わず「ポチ・ポチ、がんばってね」とユニスに声をかけるんです。
 一方、やれやれ一休みと売店で買った、ちょっと他所の観光地から比べて内容の貧しいソフトクリームを嘗めていると、「名前は何というんですか?」と近くから声をかけてくる人があります。このように声をかけて来る多くの人に、犬の名前を教えてしまうと「ユニス君なんちゃらこんちゃら」と持ち主には関係なく話しかける人がけっこう多いのです。「名前は?」と問われたときにユーザーの名前を言ったらおもしろいかも!呼ばれたら「はあい何ですか!」なんて言ってみせるユーザーがいないかなあ!それとも「ポチたまです」なんてハンドルネームを使ってみるとか!
 いずれにせよ用がありそうでない時に呼ばれても我がユニスくんは「何ゆうてんねん」というような素振りです。
 でもやっぱり「お仕事中」には不用意な声かけは止めて欲しいですね。
posted by よろてん at 16:19| 京都 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 京都ハーネスの会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月26日

  パネルディスカッション「盲導犬と歩いて」を終えて

 昨年、京都在住盲導犬ユーザーとともに歩む市民の会として発足した京都ハーネスの会では、昨日「盲導犬と歩いて」と題してパネルディスカッションを開催しました。 
 パネラーには、盲導犬ユーザー・盲導犬協会職員そして盲導犬候補の子犬を預かってくださっているボランティアの方に座っていただきました。
 盲導犬事業の全般的なことにはじまり、盲導犬と一緒に喫茶店などに入ろうとしたさいに拒否された事例。
 今、補助犬法が成立したけれど民間施設にまでなかなか徹底していない実情。
盲導犬と一緒に歩いていると白杖を使ってるよりも声をかけてもらえる機会が増えたこと。
一方で、抜け毛などを気遣って犬にコートを着せているにも関わらず「そんな窮屈なものを着せないですぐ脱がせなさい」とユーザーに迫る人もいるという話を聞いたり。
 フロアーからのご意見の中には「盲導犬は「クイール」しか知らない人が多い。
大人はだめ、子供にしっかり盲導犬のことや視覚障害者のことを理解してもらえるよう、盲導犬協会も頼まれて出かけていくだけではなく、全ての学校へ講演活動に出かけて行くような取り組みが欲しい」と、共感できる意見を聞くこともできました。
 盲導犬の名前は子犬を預かってくださるボランティア(PW)さんに与えられた特権になっていますが、繁殖犬の母親から生まれた兄弟・姉妹は全て頭文字が同じアルファベットイニシャルが付きます。
A胎の後に出産した犬たちはB胎となっていきます。
A胎なら「アイ」とか「アニー」という名をボランティアさんが考えます。「Q胎などはちょっと苦しみますね。前に既にあるクイールなどの名前は使えませんから」と、ボランティアさんなりの苦労話も伺えました。
 このパネルディスカッションは、盲導犬と視覚障害者の理解のためにやりたかった企画の一つでした。
 パネラーの皆さんにも快くお引き受けいただき、会員の皆さんにはピーアール活動や当日の準備のために時間を対やしてもらいました。
 しかし、結果としては控えめな予想をなお下回る参加者に止まりました。
 チャリティーコンサートなどには多くの人たちが集まるのに、こうした研修会にはなかなか足が運ばないのでしょうか?
 賢い!可愛い!対象でしか盲導犬はありえないのでしょうか?
 盲導犬とユーザーである視覚障害者のことを市民の方に知ってもらいたい。
1市民としてどんなことが視覚障害者や盲導犬事業に協力できるのか?そんなことを少しでも知ってもらえる場になれば…
 そして、究極は、視覚障害者は「お手伝いする対象」ではなくて、同じ地域で一緒に生活している1住民として受け入れていける意識。
 そうした気持ちを参加された人たちに誘発できる場となればと願って開催した研修会でした。
 しかし、残念!会場を後にする気持ちは達成感というよりは「啓発活動」の難しさをいまさらのように思い知らされる春霞の帰途となりました。
posted by よろてん at 22:55| 京都 | Comment(1) | TrackBack(0) | 京都ハーネスの会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする