雨の後であれば滑ったのではないかと思わせる所が幾つもあった。
Dさん、視覚障がい者をリードした経験はあるが、盲導犬は初めてだという。
汗が噴き出してくる。同年輩のDさんのシャツもしっかり濡れている。
30分近く昇った所で先に到着したツアー客の声が聞こえて来る。ゴール間近!
皆さんの拍手に迎えられてゴールイン!
ここは仮称「森のレストラン」で、ブナの木にかこまれた平坦な一角。うまい具合に30人程度が休憩できるスペースが自然の中でできている。
対をなして伸びているブナの木は、その枝を互いの邪魔にならぬようそれぞれ反対側のみに枝を張るという。木陰になった所は木も生長せず結果こうした空間ができたようだ。
かついできた弁当をひろげる。Dさんが木で作ったという自称「こかりな」の爽やかな音を聴かせてくれる。森林に囲まれた中で広がる音は現地ならではの味わいかも!(音声添付 コカリナ.MP3)
下りは思っていたより楽に足が運び、後ろからついてくるユニスもパニックになることもなく無事に出発点へ。適切なサポートをしてもらえたからこそ貴重な体験をすることができた。緊張感はあったが、さほど肉体的に疲れたというような感覚はない。
この日の宿泊は、国民宿舎ふうな所。
「夕食は和食」とは聴いていたが、食事場所へ行くと「畳なのでスリッパを抜いてください」という。「えっ!ならば盲導犬は?」と当より早く「盲導犬はそのまま上がってください」という。コートは着せているものの畳とは知らずシートも部屋においてきた。ネックカラーをしっかり持って末席へ座る。
ユニスがダウンすると畳の上に置かれた膳はそれこそ目と鼻の先。しかし、ユニスは全く気にとめることもなく昼の疲れもあるのかゆったりダウンする。
この座敷には舞台があってマイクのテスト中。やがてアンプを介して津軽三味線の大音量が広がる。膳の中の料理の配置を説明してもらおうとするが三味線の音にかきけされてしまう。
バスに長く乗ってたいがい腰が痛くなっているところへ、久々畳の上で取る食事は腰痛持ちには辛い!
三日目。1・2箇所観光巡りをしたが、ほとんどバスの中。ガイドは「沢山歩かれて疲れたでしょう」というが、車内で座り続けている方がなんぼかきつい!
ようやく秋田空港へ到着。ツアー仲間のお一人から「今回の旅行で何処か一番良かったですか?」とさりげなく問われる。「もっと原生林の森の中を歩くもものと思っていましたが、あまりそうした実感は味わえなかったが、それでもエコ遊の森の道なき道を歩いたことは良い体験になりました」と。
秋田空港には盲動犬用のトイレが作ってあると聞いたことがあり、職員に尋ねてみる。しばらくして戻ってきた職員に案内されていった所は2・3畳のスペース。そのスペースの半分くらいが砂地になっている。水などを出す設備はない。これでは排尿などさせた後はいちいち職員に申し出て処理をしてもらわなくてはならない。
どういう経緯、誰がこうした企画を具体化したのだろう?
帰りの飛行機は初めから余席がとってあって来たときと同じ状態で帰途につく。
今回、ツアー客の盲導犬に対する見方は傍観的な人が多く、質問を受けることが少なかった。熱いときにコートを着せていること。人でも難儀する山道を犬に歩かせること。言葉の端々にそうしたことを感じさせる人がいた。
ユニスとのチャレンジ旅行は今回で多分終了。後は温泉地を回るゆったり旅行で終止符をうつことだろう。