新聞によると、この事故について、犬を無償貸与していた財団法人「中部盲導犬協会」(名古屋市)が、トラック運転手と運送会社を相手取り、計約540万円の損害賠償を求めて名古屋地裁に提訴していたという。
詳しくは、インターネットで「盲導犬・事故」で検索していただければ何件かの記事がヒットしてくる。
同じ盲導犬1ユーザーとして、いつ我が身にもおこるか分からないという出来事である。
中部盲導犬協会といえば、かつて「盲導犬サーブ」として有名になった所である。視覚障害者と盲導犬サーブが歩いていたところ、車がつっこんできて、その事故でサーブは片足を失ってしまった。その事故を伝える報道は「視覚障害者のご主人を助けるためにサーブは車に飛び込み犠牲精神を発揮した」というような書き方をした。
事実関係は分からないが、盲導犬が車に向かっていくようなことはないと思うし、仮にそうであったら恐ろしいことだ。
その後、この報道をきっかけにサーブを前に出して資金集めをしているということも聞いている。
今回の訴訟はそうしたものとは違うが、一部の新聞は「目の不自由なお年寄りをかばい、トラックにはねられて死んだ盲導犬を…」というタイトルをつけているところも。
盲導犬はハーネスをつけているのだから、運転手はそうしたものに極力気をつけねばならないとか、もっとドライバーにも分かりやすい表示はないのだろうか、などといったコメントをしている社はなかった。
ただただ「けなげな盲導犬がかわいそうに!」という思いを読み手に与えたのではなかろうか?
各種報道において、あるいは関係団体の啓発において、盲導犬を美化するようなことに終始せず、社会や市民が今後どのように関わっていったらよいかを問いかけるものにしていってもらいたいものだ。
重要な事は、白い杖を持つ人や盲導犬を認識したときに運転手はどうすべきか? 法律的な裏づけとして、そのような学習を行っていないからだ。「見かけたら注意するでは不十分だ!」「その場での注意とは、どういうことか理解されていない。」