盲導犬の役割として視覚障がい者が求めるもの (1)
私はあと数年で80歳の大台にのる。
ここまで4頭の盲導犬と37年間歩いてきた。4頭目の盲導犬も10歳の定年を迎え
ることになった。さてこれからどうするか?今後、何時どのような環境の変化が
生じて盲導犬との生活が困難になることも考えられる。
そうしたことも踏まえて盲導犬協会に、5頭目の盲導犬貸与について相談した。
結果、ユーザーとして犬を管理できる間は貸与するということになり、それこそ
最後の盲導犬との再出発となった。
新パートナーの盲導犬は体重22s。これまでの4頭が30kg前後あったこと
からすると二回りほど小さい。盲導犬はユーザーの半分くらいの体重がないと何
らかの事情で踏みとどまらねばならないときのブレーキ役になれないと言われて
きた。ところが最近の盲導犬は総じて小さくなってきているという。乗り物や飲
食店を使うとき、足元に伏せさせておくには小さな方が良いが、実際に行動して
みたらどうだろうか?そうした課題もかかえながら、盲導犬・ユーザーそして盲
導犬歩行訓練士との共同訓練に入った。
触地図の効果
私がまず訓練士にお願いしたのが触地図である。
日常的に盲導犬と一緒に散歩として使っているルートが7・8箇所ある。歩数で
いえば
4000から8000歩くらい。これらのルートを共同訓練の実施場所とするにあたり、
自分の頭の中にある地図を今一度確認しておくことにした。慣れた盲導犬との移
動では常にユーザーが支持しなくても経験的に盲導犬が「連れていく」というこ
とがある。本来はユーザーの支持にしたがって歩くのが盲導犬歩行。
触地図というのは、鉄道・バス通り・枝道・川や駅などを指先で触って分かる
よう点や線をザラツキなども変えて作成する。距離感や曲がり具合などをより正
確に表現する。
幾つかの工程を経て作成してもらったものを見せてもらって感激と驚き!
これまで真っすぐ歩いていたように思っていたところがかなり曲がっていたり、
横断歩道の白線が引いていなかったところを平気で渡っていたり。全体的な配置
がよく分かる。
事前に情報を得ておくことで、どのポイントで盲導犬に支持を出したり、より
慎重に歩かねばならない箇所などが確認できる。また、訓練を終えてから触地図
を見ながら具体的に反省点を振り返ることもできた。
作成は大変な労力であったろう。関わってくださった人たちへ感謝!