地元の新聞社のツアー旅行の案内があり、それに申し込んだ。
先方が受け付けたので、「盲導犬も一緒」と告げると、案の定「ホテルに問い合
わせてみますので」と、その返答を待つことになる。
その回答は、「ツアー客とは別に離れに泊まってもらうことになります」という。
「盲導犬と一緒だと、どうして皆と一緒の所に泊まれないのか、その理由を聞か
せてほしい」と問うと、盲導犬のことは分かっていますが、そのホテルでは、盲
導犬もペットも離れだと一緒にお風呂にも入ってもらえます」と、驚くべき答え
が返ってきた。
ペットと一緒にお風呂に入りたいという人もあるのだろう。しかし、わが盲導
犬は視覚障がい者の歩行手段のサポートとして社会に認知されているものであり、
風呂に一緒に入るというようなことは考えたこともない。
盲導犬とペットを同一化していることが、このことからもみてとれる。
そして、最初に「離れで」といったさいには「レベルが高いので金額も上がりま
す」とまで付け加えていた。ここまで言われると、「それならやめておきます」
という人が多いのだろう。
別のツアーを使い始めたときも、同じような対応をされた。しかし、同ツアー
を一度使ってみて、添乗員にもしっかり知り、理解してもらってからは、会社の
方で関係施設に「問題ありません」と説得?してくれて、何ら問題なくツアーを
楽しんでいる。
今回の場合、「一緒にお風呂にも入ってもらえますので」という好意的な考え
であるのなら、「そういうところもありますが、どうされますか?」と問うてく
るのが順当である。
ツアーの責任者に、盲導犬を使う視覚障がい者を、このような形で離れへはじき
出すのなら、白杖を使っている視覚障がい者にも同じ扱いをするのか?
車いす使用者が申し込んできたらどうしたのか?
おそらく、そうした人たちが申し込んでくるなど想定外だったのではないか?
正確な案内を出すのなら、ツアーで受け止められない人たちのことはお断りと
して申し添えておくのが本筋ではないのか?
こうしたやり取りは本当に疲れる。「一般」と言われる世間から想定外に押し
やられている者が、「当たり前」に行動しようとしたときに、常に「障壁」が立
ちはだかり、多くの場合、それをあえて超えようとする気力を失ってしまうのだ
ろう。
このやり取りで、どれほど理解してもらえたかどうかは分からないが、最終的
な回答は、「まったく問題ありません、一般の方と一緒の所で」というものであ
った。
3月半ばのツアーであったが、新型コロナウイルス感染のこともあり、啓発を目
的とした旅行の半分の目的も果たせたことから、今回はキャンセルすることにし
た。