夕食は、海に沈む夕日を一望する窓際のカウンター席。雲丹三昧のメニューとはどのようなものが出て来るのか?日頃は、にぎり鮨の中にある雲丹などは避けていたくらいなので食べられる物が出て来るだろうか?と楽しみというより不安半分で運ばれてくる内容に注目する。
雲丹は輸送中に崩れないようにミョウバンに付けられているようだ。そのことが原因しているのかどうかわからないが、味わいが変わってしまうようだ。なるほど現地で食するものは、ツアー客の言葉を借りれば「クリームのような」というのがまさに当たっているような味。
食事を終えて午後8時を過ぎても、まだ外は明るい。明くる朝、午前3時過ぎ、もう外は明けている。まさに白夜である。
朝食までの時間散歩に出る。他のツアー客も多く見受けられる。「ワンちゃん元気になりましたか?」とあちこちから声がかかる。昨日、胃液を出したことを添乗員から聞いておられるのだろう。「ワンちゃんと一緒に写真に入らせてもらってもよいですか?」と犬をはさんでシャッターを切ってもらったり、「獣医師が使う内視鏡を作っているんです」というような話から会話が進んだり、盲導犬効果はいろいろなところで力を発揮する。
利尻山は、そのときどきで表情を変えるそうだが、早朝の景色は見事なものであったようだ。
利尻島での観光で印象に残っているのは、姫池の散策、池の周囲は1・2km・木道が続いているという。上高地の木道を体験したときは途中で引き返したことがある。木道の幅を聞いてみると、あのときの幅よりは広いという。犬と私と家人が横に並んで歩けるほどというので出発した。しかし、3分の1も行かぬ所から幅が狭くなり、家人を前に、その後ろからおっくんと私が付いて歩くという形になる。こういうときに白杖を持ってきておいたら自分で足元を確認できたのに、と悔やんでみても後の祭り。おっくくんは、左端ぎりぎりを歩き、私もすり足に近い状態で前進。指先だけで家人の肩や背中を触れると「もっとしっかり持っていないと」と、家人はその不安定さに不安を感じるようだ。しかし、私としては、もし、ふらつくようなことがあって不用意な力が加わった場合、家人を押してしまわないかとの心配の方が強く、できるだけ言葉で事前に状況を説明してもらいながら、ちょっと広い場所にでたときは後続から来る人たちに「どうぞ」と追い越してもらって周囲の風景説明を聞く余裕もあまりないまま、「後どれほどの距離?」と後ろから問いかける回数が多くなる。元の場所へ戻ってきたときはホッとの思い。
ツアー客の中に介助犬に関わってきている人がおられ、その人いわく「狭い所を歩くとき、犬は右足に力を入れてサポートしていましたよ、と犬の動きについての状況説明もしてもらう。
船に乗って利尻島から礼文島へ。
レブンアツモリソウを見るための群生地遊歩道へ入れるのは今日までらしい。
レブンアツモリソウは「種の保存法」による特定国内希少野生動植物種、環境省レッドデータブックの絶滅危惧種に指定されており、礼文島内でも生育している場所は限られており、この群生地は、盗掘防止のため監視員が常駐している
監視員の目の前を通り過ぎようとすると、「犬はだめ!」と声がかかるが、添乗員やツアー客の中からも「盲導犬です」という声が上がり、そのまますんなり入ることはできたものの、その貴重な花に触れさせてもらうことはできなかった。なんでも、その丸い花の中の蜜を食するのは女王蜂のみだという。