ユニスとの散歩にもこっぽりフードをかぶって日差しが最もあるときを選んで出かけるようにしている。
ここ数日冷え込みが厳しいこともあって、夜中ユニスだけが寝ているリビングに温度は低めではあるが床暖をつけてやっている。
このご時世寒空の下で路上生活を余儀なくされている人も少なくないと聞く中で複雑な思いもある。
この部屋に水を入れた食器を置いておくと引っかかってこぼしてしまうという心配もあることから隣の部屋に置いておいて間仕切りをユニスが通れるほど空けておくようにしている。
ある朝、別の入り口から隣室へ入るといつもなら尻尾を振って食事の催促をするユニスが目の前にいない。あれっ!と思ってみると隣の部屋からこちらへ来られないようだ。見てみると間仕切りの開け方が狭くて出て来られなかったようだ。家人が少しでも熱が逃げないように細めにしておいたのかもしれないが。
犬によっても違うものだな、と感じさせられた。先代のハピネスであれば、こういう場合は鼻か手でしっかり間仕切りを動かして目的を達成する。しかし、ユニスは通れないものは通れないものとして認識する。これ、盲導犬としてはまことにセオリどおりの行動である。ただ、ハーネスを付けている時と付けない時の見分けがつけばなお「グッド!」ではあるが。
ハーネスを付けた盲導犬としての歩行にも2頭の違いはある。ハピネスは多少の融通がきくというか、ちょっときついかな、と思う幅狭の箇所でもハーネスを引っ張る場合がある。集団で歩いている時は、とにかく前へ出たい。人の間を「ちょっと失礼!」とばかりかき分けるように出ていく。というよりもユーザーである私がそれを許してしまっていたところがある。
ユニスの場合はきわめて慎重である。これは犬の性格もあろうが10年が過ぎて私の足腰が弱ってきたこと、判断力が変わってきたことから傍に寄り添う犬が直感的に感じ取って判断してくれていることもあろうし、ユーザー自身のコントロールの仕方も自然に変わって来ているのだろう。
以前にも書いたかもしれないが、ハピネスは、自分の敷いているシートを日のよく当たる窓際に引っ張っていってきれいに広げ、その上にゆったりと寝そべっていた。だが、夜中は室内ではあるが暖房は無い中で段ボールの箱の中でまん丸くなって休んでいたものだ。
それより前・20年前のエドになると、犬舎を屋外においてどんなに冷える日でもその中で寝ていた。犬舎の入り口には段ボールで目張りをしたが、床下からの冷え込みは何枚か毛布を重ねて置いたとはいえ、さぞかし寒かったろうと思う。
それでも、犬たちはそれぞれに元気に冬を超してしっかり盲導犬の仕事を果たしてくれた。