私も学生時代からここ数年前まで長い間盲人卓球を楽しんできました。全国大会や
近畿大会にもよく出場しましたが、大会は概ね冬場でした。
これまで盲人卓球と呼ばれていましたが、2002年度よりサウンドテーブルテニス
と改称。競技は、ラバーの貼られていないJTTA公認ラケットを用いて、公認球に金属球
を入れたボールを打ち合い行われます。
プレーヤーはアイマスクを装着してプレーしなければならないため、ボールの
転がり音だけが頼りとなります。
コートは、エンドと自領コートのサイドにフレームが付いた専用の卓球台を使用。
ネットは、ネットの最下部全長にわたって、コート面から4.2センチの高さに張られて
おり、ボールはその下を行き来します。
これだけの説明ではなかなかお分かりづらいかもしれませんね。
この卓球、一般の卓球とは違って、平面上でボールを打ち合う競技だけに単純で
おもしろくないようにも見えますし、私も当初はそう感じていました。
ところが数十年もやっていると、それはそれなりのおもしろさが出てきます。競技は
「プレー」の審判の声で室内はしんと静まりかえります。ピンポンの音以外はシャット
アウトです。
サーブをする者は「行きます」と相手に声をかけます。それを受けてレシーブする者が
「はい」と返答します。その声を聴いたら5秒以内にサーブをします。卓球台の大きさは
一般のものとほぼ一緒だから、がしゃん!と音がしたらボールは相手のコート内に
達している場合があると思えば、予想よりは遅いボールがラケットの横をすり抜けて
フレームに達することもあります。
このサーバーとレシーバー間において、まず声をかけ合ってからサーブ・レシーブを
するときの阿吽の呼吸が妙味なのです。空いての気持ちを推し量って玉のスピード、
どちらのコーナーを狙うかなどを推察します。
私にはYくんという良き好敵手がいました。彼との試合において、このサーブまでの
数秒がなんともいえぬ緊張の中の楽しみでした。
ラリーになったら若い彼の方が勝ってしまうことが多いので、私としてはいかに彼の
思いと違うサーブをしてサービスエースで決めてしまうか、彼がどのようなサーブを
して来るかを読みとって、ばしっとレシーブをきめてしまいたい!
カウントによっての相手の心のありよう、前の2・3球の配球の仕方、この前は「緩く
右横を狙ってきたから…」など、ゲームの流れ、彼の気分など総合して次の1球に
集中したものでした。