8月7日。琵琶湖の花火を見に息子夫婦の住むマンションへ出かけた。
午後3時前の時刻でもあって電車はそれ程込んでいなかった。車中、何やら聞こえて来る。車内放送のBGMとしてはちょっとおかしいな、と思いつつ気がついた。これがいわゆる「シャカシャカ音」の雑音なのだ。気になりだすとうるさいものだ。「やかましい!」と言ってやりたい気分になる。本当に近頃他人のことを思わないやからが増えたものだ。
大津京に降りるとさすが駅構内はざわざわしている。手みやげならぬ背土産のスイカをヨイショヨイショと担ぎ直してユニスのハーネスにリードされながら歩き出す。
息子夫婦のマンションは琵琶湖畔に高々とそびえ立つ。まことに景観を損なう建物である。しかし、住まいする者にとっては目の前に琵琶湖を日常的に見て優雅?に日々を送っていることだろう。リゾートな生活である。
このマンションにとって今日は最も値打ちの出る日である。
今年は孫も生まれ、我々夫婦とユニスもおじゃますることにした。
孫は頸もすわり腹這いで反らんばかりに頭を持ち上げ手と足を一所懸命動かしながら前進しようとする。私がこわごわ抱えると時々むずることがある。里のお父さんにも泣き声を出すことがあるそうで、お父さんとの相性が良くないのか?
花火大会は7時半から始まる。息子嫁が「お父さんには特別席が準備してありますよ」といってベランダの真ん中に置かれたロッキングチェアに案内してくれた。
今日の日を迎えるに当たってちょっと心配していることがある。はたしてユニスが花火の音にどのような反応を示すか?
というのも、自宅周辺では農作物を荒らしに現れる猿などの動物をおっぱらうために空砲を鳴らすことがある。周辺には小さな山もあって、この音が反響する。
これまではユニスは知らぬ振りであったが、今年になってからは怯えるようになり、音が鳴り出すと家族の所へすり寄って空砲が何発も続くような時は体をガタガタ震るえることがある。
花火は最初セレモニーのように穏やかに始まった。ユニスは私の足元でゆったりダウンしていた。
第2段の花火が始まると連発して大きな音が鳴り出した。ときにはドスンと腹にこたえるようなものもある。それでもしばらくユニスは震えることもなく一見知らぬ様子をしていたが半ば近くになると体がだんだん私の方にすり寄って来てがまんしている雰囲気を感じ取った。
花火はますます佳境に入って来る。だがユニスのためには限界と見て部屋に引き下がることにした。
自宅で空砲を聞いているときほどの恐怖感はなかったようで良かった。
日頃は静かなマンションも、この日ばかりは来客を多く招いているのか午後11時くらいまでざわざわしていた。
孫はまだ花火を見るというところまではいかぬが来年は喜ぶことだろう。
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