それでも空模様は雨が降りそうな雰囲気でもなくホテルの人も「大丈夫です」と太鼓判をおしてくれた。
午前9時、我々を含め7人が、このホテルのシャトルバスに乗って一路上高地へ。20数名も乗れるような車にこれだけの人しか乗らないのはもったいないくらい。ひょっとしたらユニスもいるのでワゴン車では窮屈と考えてくれたのであれば申し訳ないかぎりである。
何時から出来た高速道なのか知らないが飛騨から上高地までトンネルを造って車20分程度で貫通している。こうして車道を作ることで多量の土砂を掘り出し山の水はけが変わったり土中に吸収される水量が減って、近頃各地で発生している土石流などの一つの要因にもなっていないだろうか、などと考えを巡らしている内にトンネルを抜けた。
トンネルを出ると、そこは晴れ間の広がる上高地!
夫婦それぞれに背負っているリュックサックを預かってもらうが、何と一つ400円。人材雇用の面でもコインロッカーよりは良いと思うが、そこまで取らなくても十分日当分は稼げるのではないか。旅行に行くたびに思うが、あまりに旅行客の足元を見て容易に高額を色々な面で取りすぎる。
上高地を歩くのは二度目。前回は二代目盲導犬・ハピネスと歩いたのだが、晩年のハピネスは土道を歩く時、傍らの草木をよく臭い取りして、そのたびにリードを引き寄せた覚えがある。そのてん、ユニスはしっかり前を見て行き交う人に褒められながら歩いてくれる。
まず、河童橋から田代池によって大正池まで下がる。途中昨日まで降った雨のせいもあってか泥濘のある所もあったが木板で歩きやすくしてある部分が何カ所もあった。数年前はこんなだったかなあ。大正池から今度は田代橋を渡って梓川を右に見ながら河童橋へ戻る。ユニスに梓川や田代池で足を付けたり水を飲んだりしないか促してみるが全く興味を示さない。ハピネスのときは浅瀬ではあるが切れるような冷たい水の中をジャブジャブ入ったものだ。
二時間足らずで往復し、河童橋近くで昼食。食堂に入ろうとすると係の者が「盲導犬は?」と言いかける。「補助犬法で盲導犬は何処の店でも入って良いことになってますよ」とあっさり言うと相手も「ああそうですか」と簡単に引き下がる。
食後は明神橋の方へ向かって歩く。ここからは木道があるのだが横幅の狭い所を歩くのはとても無理と言うことで梓川の右岸を上がることにする。帰りのバスの時間もあるので今回は明神橋に行く手前の所で折り返す。
さすがユニスも暑い中、2万歩を越える歩きをして疲れたのだろう、我々が用をすべく立ち止まるとすぐさまダウンする。
私の方は数ヶ月前からプランは立てていたものの果たして体力的に足腰の健康を保ったままで今日の日を迎えられるかちょっと心配もしていたが、ほとんど足のもつれや疲労感もなく無事に歩き終えることができた。
松本駅の近くのホテルに泊まった。ユニスの排泄については小便は袋をくくりつけて部屋のトイレでも何とかしてくれたが、大便は狭い場所でやることに抵抗も感じているのか出ない。ホテルに車椅子用のトイレはないか問い合わせると2Fのロビー近くに広いトイレはあるけれど車椅子トイレはないという。こんなホテルで無いというのはおかしいと思いつつ2Fへ降りてみるとちゃんとした多目的トイレがある。
しかし、緊張していることもあるのか夕方から夜翌朝も袋を付けてチャレンジするがどうしても大便は出ない。

