暑くなって来てお父さんとの朝の散歩も舌を出しながら歩く日も出てきました。
お父さんの散歩、日によってはある場所からは全く僕任せの歩きになっている時もあるよ。何処を歩いているのかお父さん自身よく分からなくなって携帯のカメラでその辺を写しておいて家に帰ってからお母さんに「これどの辺かなあ」なんて聞いているんだけど「さて!」と焦点のあっていない画像を見てお母さんも分からない時がある。
それでも僕は何時もきっちり間違いなく家に帰って来ているよ!
この前、お父さんと病院へ行った。この病院、まもなく丸2年通ったことになる。初めは職員の人も「外来の多い時間は避けてもらった方が」なんて言って、お父さんがクレームをつけたような時もあるけど、今や「賢く温和しい犬やなあ」と名物になっていると思う。みんなにこにこ僕を見てくれる!
診察室、担当の医者が変わったこともあるようだけど、どうも言葉のやり取りを聞いていると、お父さんとしては頼り切ることができないようで、今度は違う病院へ行くみたい!
病院からの帰り道、「ユニスともこうしていつまで歩けるか分からないしなあ?」なんてちょっと心細いことをいう。
元気な内にあちこちへ行っておきたいということもあるのか、帰りのその足で旅行会社に立ち寄った。
昨秋にもここでプランの相談をしたのだけど、僕が一緒に行くというので宿泊先がなかなかすんなり決まらない。
今回も夏と秋の二つのプランの相談をしていたのだけど、担当者の人が「盲導犬も一緒なんですけど受け入れは大丈夫ですか?」と電話口で訊ねると、何やらあやふやな返答があるみたい。お父さんが「補助犬法というのもあるので受け入れないと言っているのなら、その理由を聞いて欲しい」と担当者に伝える。担当者は「盲導犬法というのがあるんですけど」なんて先方に話している。五つ・六つと宿泊先に電話を入れてもらうのだがほとんど受付では、らちがあかないようで、「責任者に聞いてもらうようにしてください」とお父さんが旅行社の人に頼む。折り返し責任者から返答がある所もあるようだけど再度問い合わせないと返答がなかった所もある。
お父さんの足下で伏せながら、そうしたやり取りを聞いていたのだけど、幾つか目の問い合わせ先で電話をかけていた旅行社の人が「盲導犬は大丈夫ですか?」と電話口で訊ねた、すぐ後に、「そうですか」と受け答えたのを聞いてお父さん「ここはすんなりオーケーやったんやなあ」とほっとした言葉を聞いたひょうし、思わず僕もしっぽを振ってしまった。結局、二つの旅行をまとめるのに3時間かかってしまった。
何処の宿舎も盲導犬を受け入れた所はほとんどなく、実際に僕のように温和しくしていることも知らぬままに「ちょっと!」と拒んでしまう。
僕が1回行った所では「理解不足で申し訳ありませんでした。またどうぞ!」と言ってくれるのに!
お父さんからのコメント。
世間はまだまだ盲導犬に対する理解は乏しい。町中で歩いているときの目線は優しくなりつつあるが、宿泊やタクシー・飲食店などを利用するさいにはちょっとかまえてしまう。
補助犬法というのが制定された中で「盲導犬受け入れ可」という店先の表示はおかしいのではないか。むしろ盲導犬を受け入れないのなら「不可」という表示を社会に向かってすべきではないかというのが私の持論である。
先日、点字毎日の取材を受けたさいに、元盲導犬ユーザーの取材者に、この話をした。彼いわく「「welcome!盲導犬」って表示してくれたら良いのですよね」という。
まさに、この考え方こそが正解である。