京都でもオンラインによる対面朗読始まる
私は、3年前から地元の図書館で対面朗読サービスを利用している。
この対面朗読とは、朗読者が「目の代わり」となって指定された資料を読むサ
ービスで、読み手はボランティア。点字資料や録音資料に訳されていない資料を
即座に利用できるという利点がある。
図書館に利用を申し出たときは、初めての取り組みでもあり、視覚障がい者に
どのように接したら良いか分からず職員の方は戸惑われたことだろう。
しかし、盲導犬と一緒に来館を重ね、時間の経過とともに、スタッフの方々から
「○○です。お部屋まで誘導します」とさりげなく声をかけられ、腕をかしても
らえるようになってきた。
地域の図書館でサービスを利用する目的は、もちろん情報を得ることもあるが、
読み手をしてくださる方、職員、そして、図書館を利用しておられる人たちに視
覚障がい者や盲導犬について自然な形で知り理解してもらえるのではないかと考
えたからである。
実際に読み手として関わってくださった方からは、「わざわざライトハウス
(視覚障がい者施設)まで足を運ばなくても、生活圏の中で日常の時間枠の中に
導入して関われるし、日ごろは読まないジャンルの本を読める機会にもなって」
と受け入れてもらっている。
昨秋、職員に「オンラインでこうした対面朗読がしてもらえたら一人で外出の
難しい人もサービスが受けられて良いだろうなあ」とつぶやいたものである。そ
のことが強い要望と聞こえてしまったのかどうかは定かでないが、数週間後、館
長から「朗報があります。新春からオンラインによる対面朗読が始まります」と
伝えられ、一瞬「えっ!?」とあまりの速さにびっくり!これまでいろんな場面
で関係者に、視覚障がい者当事者としての思いを語り、具体的な提案もしてきた。
しかし、その多くは実現せぬままに消えてしまっている。それだけに驚きと感激!
年が変わり、早速オンライン対面朗読を申し込んだ。zoomを使って2時間。読
み手の方には中央図書館まで出向いてもらう必要があるが、私の方は自室のパソ
コンの前でサービスを受けることができる。
今回、私がお願いしたのは、学習中の囲碁の参考書。図書館の蔵書の中から5
冊を準備してもらって、書店で立ち読みするように1冊ずつそれぞれの概要を読
んでもらい、点字書として使いたいもの、対面朗読の中で対処していくものなど、
自分の必要度に合わせて決めることができる。こうしたことは今までできなかっ
たことだ。
近年、サピエ(視覚障害者及び視覚による表現の認識に障害のある者に対して
点字、デイジーデータによって暮らしに密着した地域・生活情報などさまざまな
情報を提供するネットワーク)などを使って、以前には考えられないほどの大量
そしてタイムリーな情報が提供されるようになってきたが、法律やインターネッ
ト、各種の趣味など専門的なものについては、少数者の利用ということもあって
訳されていないものもある。
今回、囲碁の参考書を読んでもらうことになった方も全く囲碁の知識はない方。
予め少し出て来そうな言葉については調べておいてくださったとのこと。専門的
な内容になればなるほど、読み手にとっては大変さも増してくるだろう。将来、
図書館の蔵書を使って専門的な知識を求める利用者が増えて来るとしたら、そう
したニーズに対応できる読み手が現れるよう。今後のボランティアの在り方につ
いて図書館としても考えてもらえたらと願っている。