自宅から盲導犬と歩いて30分程度の所に地域の公共図書館がある。
HPで見てみると対面朗読室がある。
視覚障がい者のサービス提供として有るものを利用することが第1歩と出かけ
てみた。
通された対面朗読室は、思ったより大きなスペースのものだが、物置のようにな
っている。これまでに利用された人があったかを尋ねてみると、今回が初めてと
のこと。読み手のボランティアは、現状ではおられないとのこと。
それでは、ボランティア捜しをしてもらった上で、利用させてもらいたいと申し
出、図書館登録をする。
数か月後、その後の状況を聴くために図書館へ出かける。音訳講習会を終えられ
たボランティアで、この図書館で活動していただけそうな人がおられないかライ
トハウスへ問い合わせているとのこと。私としては、特にきれいに読んでもらい
たいとは思っていないし、地元の方で、こうした活動に関わってもらうことで視
覚障がい者のことを知ってもらう一助にもなると思うので、資料を読んでいただ
ける方がおられないか、館内に呼びかけ文を掲示してもらいたい、と申し出て帰
ってきた。
あくる日、その館長から電話をいただいた「ボランティア募集の掲示はします
が、対面朗読室の利用は、図書館の資料の中のものであることをご理解ください」
と言われて、「え! 私としては、手元にある資料を読んでもらえるものと思っ
ていたので」と戸惑いの声を返してしまった。
確かに、図書館の案内では、対面朗読室を設けて図書館資料の対面朗読を行っ
ています、とある。活字が読めない人にも図書館に有る本を利用してもらおうと
いうものである。図書館としては補完的なサービスとして必要なことだ。
一方で、視覚障がい者にとっては、行動の自由とともに不自由を感じているの
は「文字情報」で、それは図書館に有る本や資料に留まらない。近年、インター
ネットによる視覚障害者情報総合ネットワーク「サピエ」があり、点字・録音図
書目録の検索をはじめ、点字データ、デイジーデータなどのダウンロードなども
できる。そのため図書館にある本の多くはタイムリーに提供されるようになって
きた。
むしろ、視覚障がい者にとっては、手元にある個人として必用な情報を読むこと
ができない不自由さというものを日常てきに感じている。
各地の図書館の状況や、公共図書館としての役割について、ライトハウスの担
当職員に問い合わせてみた。
「地域の図書館にある対面朗読室は、図書館の本を読むだけの空間に限定され
てしまうのでしょうか?視覚障がい者の「文字情報をサポートする」ための空間
にはならないのでしょうか?」
職員からの回答は素早い物だった。
「各図書館の対面読書のサービス内容には以下の通り書かれています。主に視覚
障害の方へのサービスです。視覚障害の方が知りたい(読みたい)活字の情報を、
音訳協力者の協力で得ることができるサービスです。
活字の情報とは、本や雑誌、新聞、パンフレット、家電などの取扱説明書等々、
活字による印刷物のことです。読む資料は図書館所蔵の図書または雑誌、および
それに準じる持込み資料です。
上記のことから図書館所蔵のみに限定していない図書館もあり、これは市によっ
て異なっているようです持ち込みもOKですが、要相談ということはあると思い
ます。」
ライトハウスでは、「読み書きサービス」や、対面朗読にしても視覚障がい者
が持参した本を読んでもらうサービスがある。
視覚障がい者の「文字情報」をサポートする、こうした活動が各地域の図書館
で行われれば、遠くからライトハウスまで出かけていかなくてもタイムリーに情
報を得ることができる。
声を出していきながら、動きを見守っていきたい。