2017年02月10日

リタイアボランティアAさんとの出会い


ユニスとリタイアボランティアAさんとの出会い
 Aさんご夫婦とは2代目盲導犬からのお付き合いである。
 2代目の盲導犬ハピネスのPW(パピーウォーカー)として関わってくださったの
が最初で、ハピネスが活動を終えてリタイアとなったともご夫婦のお家で余生を
過ごし、亡くなるのを看取ってもらった。
 ハピネスが亡くなってからも、近くにこられるときは、ときどき拙宅へも立ち
寄ってもらってお話をすることがあった。
 ご夫婦が来られると、ユニスのテンションは急上昇。特にご主人に対しては身
内に対して喜ぶほどの歓迎ぶりで、「これはリタイアしたら預かって欲しいとい
うアピールではないでしょうか?」と笑い合ったものだ。そうしたことが何度か
あって、「これは預からぬわけにはいかないな」と、ユニスのパフォーマンスに
押し切られて預かってもらうことになった。

 私とユニスの晩年を日誌の中からみてみると、ユニスが10歳の誕生日を迎え
ようかというときに、担当訓練士の方から「代替をそろそろ考える時期ですね」
と言われる。心のなかでは「もう少しは大丈夫」とい思いはあったが、10歳を
超えるころからは、散歩のさいは、「またか!」というように動きが緩慢でこち
らがハーネスを前に押しやらねばならないときも出てくる。それでも外出時は元
の盲導犬に戻ったようにしっかり歩く。老いてきたのか、国際会館から会議出席
者の歓迎の花火が打ち上げられると、その音に怯えて震えだすようになる。
ユニスが10歳の半年くらいのときに白神山地のツアー旅行に参加する。プロペ
ラ機に乗ったり、比較的小さなバスの後部座席にダウンしたり、旧斜面の上り下
りがあったりで、散歩の動きからすると、よく付き合ったな、と振り返って思う
が、そのときはしっかり盲導犬に戻っていたから不思議なものだ。
しかし、毎日の動きをみていると、これ以上盲導犬として活動させていくのは可
哀そうでもあり、自分の行動面でも支障が出てきそうなので、代替を急いで欲し
い旨訓練センターに要望する。ユニスは、何となく心細いのか人の後ろを追うこ
とが多くなる。
代替の候補犬がショウトステイとして我が家へやってくる。その間ユニスをAさ
んのお家で預かってもらうことになる。
白神山地・林.JPG
posted by よろてん at 14:08| 京都 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月02日

3頭目の盲導犬ユニス逝く

 私の傍で9年間、盲導犬として立派に仕事を果たしてくれたユニス。
1月初旬に「数日前からユニスが食事も取らず水もほとんど飲まなくなって、お
むつが汚れたときだけ動くけれども、ほとんど動かず、家族の者が離れると泣い
たりする」と、リタイアボランティアをしてくださっているAさんからメールが
入る。
 何時の日か、こうした連絡を受けるときが来るだろうとは思っていた。
十日ほど過ぎて、Aさんから、ユニスの生命力は獣医さんも驚かれるほど粘り強
くがんばっている、との連絡があったが、その数日後、口に潰瘍ができ、何処か
痛みがあるのか頭を床に打ち付けるようなこともしていたが、今朝はほとんど動
かなくなったので、会いに来てもらったらどうだろう、と電話をいただいた。午
前中には所用があるので午後から寄せてもらうということで出かけたが、その出
先で「ユニスが亡くなった」との報告を受けた。15歳の誕生日を後3週間ほど
で迎えるという日であった。
 翌日、 盲導犬として育てられた訓練センターに帰ってお別れの会をさせても
らうのがユニスにとっても幸せではないかとのAさんご夫婦のお気持ちもあり、
日曜日にも関わらず多くの職員にも見守られる中で献花・お見送りをさせてもら
った。
 ユニスの頭に触れてみると、何か言いたげに頭をもたげてきそうな感触。ただ
ただ「いろんなことも言いたかったろうに、黙って目の代りとして、家族の1員
として付き合ってくれて、ありがとう!」との思いで手を合わせた。
 4年間、暖かくそして衰え逝くユニスの傍らで四六時中お世話してくださった
Aさんご夫婦。ご夫婦をしっかりサポートしてくださったリタイア犬担当のO職員
さん。それに我々夫婦で火葬場に向かった。
1週間前なら大雪で通れなかったという急坂を上る。
Aさんご夫婦にとっても、私にとっても、動きやすい日を選んでユニスはがんば
ってくれたのかもしれない。
 1時間半ほどかけて焼かれて上がってきたユニスのお骨は、頭蓋骨も顔面もし
っかり原型を止めており、掌の上に置いてもらった犬歯・尻尾の骨・足指にいた
るまで崩れることなく触れることができた。
ここにいたるまで、ユニスはしっかりその存在感を私たちに示してくれた。

※次回から、ユニスとの生活を通して感じたことを振り返りつつ辿ってみたいと
思います。
posted by よろてん at 09:49| 京都 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする