ユニスとリタイアボランティアAさんとの出会い
Aさんご夫婦とは2代目盲導犬からのお付き合いである。
2代目の盲導犬ハピネスのPW(パピーウォーカー)として関わってくださったの
が最初で、ハピネスが活動を終えてリタイアとなったともご夫婦のお家で余生を
過ごし、亡くなるのを看取ってもらった。
ハピネスが亡くなってからも、近くにこられるときは、ときどき拙宅へも立ち
寄ってもらってお話をすることがあった。
ご夫婦が来られると、ユニスのテンションは急上昇。特にご主人に対しては身
内に対して喜ぶほどの歓迎ぶりで、「これはリタイアしたら預かって欲しいとい
うアピールではないでしょうか?」と笑い合ったものだ。そうしたことが何度か
あって、「これは預からぬわけにはいかないな」と、ユニスのパフォーマンスに
押し切られて預かってもらうことになった。
私とユニスの晩年を日誌の中からみてみると、ユニスが10歳の誕生日を迎え
ようかというときに、担当訓練士の方から「代替をそろそろ考える時期ですね」
と言われる。心のなかでは「もう少しは大丈夫」とい思いはあったが、10歳を
超えるころからは、散歩のさいは、「またか!」というように動きが緩慢でこち
らがハーネスを前に押しやらねばならないときも出てくる。それでも外出時は元
の盲導犬に戻ったようにしっかり歩く。老いてきたのか、国際会館から会議出席
者の歓迎の花火が打ち上げられると、その音に怯えて震えだすようになる。
ユニスが10歳の半年くらいのときに白神山地のツアー旅行に参加する。プロペ
ラ機に乗ったり、比較的小さなバスの後部座席にダウンしたり、旧斜面の上り下
りがあったりで、散歩の動きからすると、よく付き合ったな、と振り返って思う
が、そのときはしっかり盲導犬に戻っていたから不思議なものだ。
しかし、毎日の動きをみていると、これ以上盲導犬として活動させていくのは可
哀そうでもあり、自分の行動面でも支障が出てきそうなので、代替を急いで欲し
い旨訓練センターに要望する。ユニスは、何となく心細いのか人の後ろを追うこ
とが多くなる。
代替の候補犬がショウトステイとして我が家へやってくる。その間ユニスをAさ
んのお家で預かってもらうことになる。