今回のツアーでは、朝早く出迎えにきてくれたタクシーに始まり、空港バス、飛行機、昼食を取る店、観光バス、島へ渡る船、宿舎、何処でも何の問題もなく、理解ある対応に接して気持ちよく最後の乗り継ぎであるタクシーに乗り込もうとした。
ところが、乗り場の先頭で待っていた運転手から、「犬はだめ!」と久しぶりに聞く言葉。「盲導犬ですよ」と念押ししても「だめ!」。
ならばと後ろに続いている車に声をかける。「前の車が動かなかったら、この車も出せないので」という。
乗り場から外れた所から別の車を拾おうかとも思ったが、とにかく拒否した運転手を特定しておく必要はあると思い直し、同行の家人に会社名と車のなんばーを見てもらう。
これで気が変わったのかどうか、先の後ろの車の乗務員が「乗って」とサインを送ってきた。
乗車したものの、前の車をすり抜けて前へ出ることが狭くてできない。
なんと、前の車も、今こうして乗車した車も同じH社(本当は実名で出したいところ)のタクシー。
乗り込んだ車の乗務員も「前の運転手の名前も知っているけど自分でいうのはちょっと!」という。
同業者なら、「お前が乗せないのなら前を空けて何処かへいけ」くらいのことを言っても良いはずだが、とにかく前の車に別の客が乗り込むまで待つという時間がしばしある。
この件について、早速、盲導犬協会の担当者に連絡する。
担当職員からH社へ申し出た結果として、車のナンバーを伝えておいていただいたので、拒否した乗務員は特定でき、その乗務員に対して、昨日、あらためて対応について指導を行い、1日間の乗務停止処分を課した。拒否した乗務員は、どうしても犬が苦手でとっさに断ってしまったが、その対応について反省しているとのことでした。のこと。
もし、見えている者と一緒でなければ、おそらく後ろの車の運転手も、私を乗せたかどうか?
かりに乗せたとしても、拒否した運転手を特定する手がかりは教えなかったろう。
タクシー乗務員から「見て見ぬふりをしてやり過ごす同業者もいる」と聞く。
手を上げていても、なかなか近づいて来ないというような時、そうしたことが現実としてあるのかもしれない。
業界には強く指導をしていただきたいとともに、街中で、そうした場面に遭遇されたとき、
ぜひ、拒否した車の社名やナンバーと場所・時間を、その会社へ、あるいは、関係施設へ申し出ていただきたい。
そうした市民の皆さんの協力、「目」があちこちにあることで、視覚障がい者の単独歩行も容易になっていくことだろう。